無線LANのメリットや運用の注意点、電波や規格などの用語、要件定義や基本設計から
設定・構築・テストにいたるまで、たくさんのことをまとめています。
さらに、Arubaの機器を中心とした無線LANの設計と設定を解かりやすく解説しています。

カテゴリ: 3.電波および電波調査

電波については、中学校で少し習ったかもしれない。周波数(f)、速度(v)、波長(λ)として、v=fλで習ったような記憶がある。この周波数がfが、2.4GHzや5GHzの周波数である。
 CPUのクロックもそうであるように、周波数が高いほうが、速度が速い(傾向にある)。その反面、直進性が強くて障害物に弱い。
 最近ソフトバンクが900MHz帯のプラチナバンドでのサービスを開始したことがニュースになった。音声の場合は、周波数が高ければいいというわけではなく、障害物に対する強さや音声品質の差があり、900MHz帯が理想と言われている。

 まず、2.4GHz帯と5GHz帯の違いを簡単に理解しておくとよい。 

2.4GHz帯 
・障害物に比較的強く、障害物をまわりこんだり反射して進む。
・ISMバンドであり、他の機器との干渉がある。 

5GHz帯
・赤外線のように直進性が強く、障害物を通しにくい
・総務省により無線LAN専用に割り当てられた周波数帯。他の電波との干渉が少ない。

以下に、電波と規格について記載しているので、参考にしていただきたい。
2-2(3) 無線LAN規格の検討

無線の電波は、基本的に、障害物がなければ電波はどこまででも届くらしい。
たとえ地球の裏側だろうが・・・
以下に暗号解読(新潮文庫)より引用する。
無線通信に批判的な人たちは、電波は地球の表面に沿ってカーブするわけにはいかないから、無線による通信はたかだか百キロメートルほどの距離でしか使えないと論じていたのだった。(中略)電離層は地上60キロメートル付近からはじまる大気の層で、これが鏡のような働きをして電波を跳ね返していたのである。電波は地表でも跳ね返されるため、電離層と地表の間で何度も反射される。そのおかげで無線通信は、事実上、世界中のどこにでも届くのである。
ただ、距離が遠くなると電波は確実に弱くなる。
e

距離が遠くなると速度も遅くなるのですか?




無線LANにおいても、距離が遠くなると、電波も弱くなる。それにしたがって、通信レートが遅くなる。
ちなみに、通信レートはArubaの無線APのTransmit Rates(伝送速度)の項目にて設定が可能である。例えば、12M以下のスピードでは通信しないや、逆に伝送する速度を1M~18Mbpsまでに絞るなど。

参考
以下は、ArubaのWLC(無線LANコントローラ)における設定画面
Configuration > AP Group > Edit "default" > SSID Profile > Advanced
ssid







i



電波の強さはRSSI(Received Signal Strength Indicator)で表すことが多いと思いますが、どれくらいの値ならいいのでしょう。



目安としては、-60よりいい値(0~-60)であれば概ね良好であろう。80は弱い。100より悪い値の電波は無視していいだろう。
 ちなみに、inSSIDerの場合、-60までは緑色であるが、それ以降は黄色、赤と変化する。ということから、60dbmまでは良好と考えているのであろう。
参考までに、以下はinSSIDerの画面である。
denpa

無線LANにおける電波調査の目的を整理すると以下である。

電波調査の目的
干渉波の存在の確認(不正なAPの発見を含む)
電波強度の確認(特に壁や障害物を通じた強度)
)通信速度(スループット)の測定
)セキュリティ対策の実施の有無

→これらを通じて、「適切な周波数およびチャンネル設計をし、適切なAP配置をすること」

に関して、外来波の確認が中心になるが、内部で勝手に無線LANを設置している場合もあり、それを見つけて撤去することも時には求められる。
に関して、結構手間な作業ではあるが、壁を電波がどれくらい通すかを測る。天井を通じた電波の漏れも確認する。フロア間の干渉も注意しなければならないからだ。
に関して、APを実際に仮置きし、PC間でファイル転送するなどしてスループットも測るとなおよい。
に関して、多くの電波調査ツールでは、通信が暗号化されているかやその方式が分かるものが多い。どちらかというと、構築後のセキュリティチェックで使うだろう。

また、電波調査はAPの設置前と設置後の両方で実施する。
上記の目的を考えると、APを適切に設置するためには事前の電波調査は必須であり、設置後に適切な電波状態であるかの確認も必要だからだ。

i 

だだっぴろい土地に新規で建物を建てる場合でも電波調査は必要ですか?
干渉波なんか無い気がしますが・・・




干渉波は少ないだろうが、の壁や天井などの障害物による電波強度を測定するために、やったほうがいい。

電波調査のツールであるが、無償版であれば、以前私はNetwork Stumblerを重宝していたが、新しいOSに対応していない様子。最近ではinSSIDerがいいだろう。
http://www.metageek.net/products/inssider

2.4GHz帯は2階で、5GHz帯は5階で通信しているようなものだから、11bと11aは互換性が無いし、干渉しない。

c
でも、これって、なぜ?
だって、実際には2階と5階じゃなくて、同じ1階で同時に使う場合もあるでしょ。



 これは、周波数そのものの理論になる。理科でやったかな?同じ周波数の波をくっつけると、2倍になったり、なくなったりする。これが干渉である。
 ところが、周波数が違うと、ぶつかっても違いは分かる。人間の声も人によって周波数が若干異なる。なので、2人が同時にしゃべっても、ある程度の聞き分けができる。
 TVのチャンネルも干渉するので、4、6、8と間を空けている。

■理科で習ったことを思い出しながら書くとこんなイメージ ※違うかも
周波数が同じ波を重ね合わせる
1





周波数が異なる波を重ね合わせる
2

f 

距離によってどれくらい減衰しますか?
また、無線APの届く範囲は何mで設計すればいいですか?




APの真横(20㎝)などであれば-20dbmなどの強い電波にになるが、実際にはそんな距離はありえない。天井にAPをつけたとして2mくらい離れるのは
当然だろう。その距離で40-50dbmくらいである。
見通しにもよるが、10mごとに5-10dbmくらい下がる。
分かりやすくシンプルにするため、かなりざっくりいうと
~10m 50dbm
~20m 60dbm
~30m 70dbm
これに遮蔽物や他の電波、人間などで減衰するから30m離れていると高スループットの通信は厳しい。11bによる1Mの通信も視野に入れるべきかと思う。
基本的には20mを無線APが届く電波の距離として設計する。

フリーソフトのinSSIDerがおすすめである。
 http://www.metageek.net/products/inssider
 
上記のURLからソフトをダウンロード(inSSIDer-Installer-2.1.5.1393.msi ※2012.10月)し、インストールするだけである。ライセンス登録なども不要で、すぐに使える。そして分かりやすい。

上から3つ目(紫)が私の無線APである。
上の表によって、左からSSID、チャンネル(2ch)、RSSI(-58dbm)、セキュリティはWP2パーソナル、MACアドレス、最大通信速度(54Mbps)、などが分かる。
下のグラフは電波の強度であり、今のところ、自分のAP(紫色)が-58dbmで最も強い。
inssider






















ただ、無線LANのAP以外の電波が検知できない。
つまり、電子レンジや妨害電波などがあっても、ここには表示されない。

e 
ということは、信号強度(RSSI)はわかるけど、ノイズやSN比はわからないのですね。
それだと、電波調査としては不十分ではないでしょうか。
ノイズによる通信の影響が分かりませんよね。


確かに、そういう観点でいうと、高額である専用のソフトが必要になる。
ただ、強いノイズがあると、APは信号を送信しなくなるので、この画面に現れなくなる。あわせて、スループットを計測することで、通信可能かの判断が行える。

また、スマートフォンのWi-Fi analyzerとう無料アプリもあり、これでも簡易な電波調査が行える。

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