「ネスペ教科書」ネットワークスペシャリスト試験に出るところだけをサクッと理解する本 2018年度版 6月2日発売

ネスペ教科書 ネットワークスペシャリスト試験に出るところだけをサクッと理解する本 2018年度版
ネスペ教科書 ネットワークスペシャリスト試験に出るところだけをサクッと理解する本 2018年度版
6/2(土)発売開始

私の本や対策セミナーでは、「テキストによる基礎学習をしてから過去問を学習してください」とお伝えしてきました。その学習をお手伝いすべく、長らく「ネスペ」シリーズにて長年、過去問解説を書かせてもらってきました。
しかし、基礎学習のテキストは作成してきませんでした。
読者の皆様からの要望もあり、また、長年出したかったという思いもあり、今回、秋の試験に向けて書かせてもらいました。試験に間に合わせるために急いで書いたため、雑な面があればお許しください。

私のこの本のコンセプトは以下です。
・ネットワークスペシャリスト試験に出るところだけを解説
・わかりやすく丁寧に解説
・薄くて安い本

詳しくてわかりやすくても、値段が高くて分厚い本であれば、勉強をやりきれるのかという不安などから買うのを躊躇しますよね。
これら3つは、読者の皆様がまさに求めているものではないかと思うのです。

以下、本書の「はじめに」より

 本のコンセプトを決めるには,非常に悩みましたし,時間がかかりました。というのも,ネットワークスペシャリストは難関試験ですから,表面的な知識では合格できません。深く知ってもらうためには,関連知識も含めて丁寧に解説したいと思います。しかしそうなると,ページ数が増えて重たい本になり,読者の皆さんに置かれましては,読む気がおきなくなると思います。
 しかし,私を含めてネスペの合格者の勉強方法というのは,参考書による基礎知識の学習は,ある程度表面的にすませているものです。どこに注力しているかというと,過去問の学習です。特に午後の過去問が大事で,そこで出てきた用語や技術に関して,あらためて書籍やインターネット,実機などで知識を深めていくのです。であれば,皆さんが一通りの基礎知識を付けてもらう本としては,出るところに絞って薄い本が一番いい,そして,午後の過去問の学習は,拙著の「ネスペ」シリーズで深く行ってもらいたいと考えました。

書店には6月末くらいから流通すると思いますので、必要に応じて書店さんで手に取って確認ください。

1(1) 今、なぜ無線LANなのか?

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ネットワークSEの成子(せーこ)です。
よろしくお願いします。
無線LANって、今に始まった技術じゃないですよね?
なぜ、最近になってさかんなんですか?
確かに、無線LANの技術はかなり前からある。しかし、少し前であれば、盗聴されるなどの、セキュリティの問題から企業において無線LANが禁止されることもあった。
 しかし、今は無線LANの導入が非常にさかんである。それはなぜか。
 無線LANのメリットは以前と変わっていないが、スマートフォンの急激な増加がその大きな要因であろう。
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確かに、スマートフォンやタブレット端末には、LANのインターフェースがついていないですからね。有線では使えないから、無線しかないですね。
今やスマートフォンは、プライベートで利用するだけでなく、業務で利用されることが多い。今後は、企業において、有線LANよりも無線LAN中心のネットワークに変化する企業も増えることであろう。

1(2) 無線LANのメリット

無線LANによるメリットを以下に述べる。
有線配線が減少
  企業であれば、各PCまでの配線が不要になる。家庭においては、寝室、リビング、各部屋などにきれいに配線するのは素人では難しい。無線LANを導入することで、配線無しの手軽なネットワークを構築できる。

スマートフォンやタブレット端末の活用
 スマートフォンやタブレット端末でネットワークを利用するには、無線LANが必要になる。
 また、有線でのインターネット回線を利用してインターネット接続すれば、3Gの回線契約が不要であり、コスト削減にもなる。

柔軟なネットワーク
 フロアレイアウトの変更、場所の移動など、柔軟なネットワークができる。有線LANであれば、社員が増えたら、その分、有線LANを準備しなくてはいけない。
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でも、島HUBがあるでしょうし、それほど大規模なネットワーク変更は現実的に少ないのでは?
確かにそうですね。それほど大きなメリットとは言えないかもしれない。ただ、会議室や、体育館など、オープンスペースでは有効なネットワークであることには間違いない。
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コストはどうですか?
配線が不要な分、コストが安くならないのですか?
配線は不要になるわけではない。あくまでも、少なくなる。なぜなら、各部屋にあるAPまでの配線は従来通り必要だからだ。それに、無線LANコントローラや認証サーバなどを導入するとなると、コストは逆に増えることになるだろう。

)【参考として】タブレット活用によるペーパーレス化
そう簡単ではないと思うが、社内での資料をタブレットで確認することによるペーパーレス。これを実現しようとしている企業が少しずつ増えているようだ。現に効果を発揮している会社もあるようす。

1(3) 無線LAN導入のデメリットと注意点

デメリット
セキュリティリスク
 有線根とワークと違って、物理的にHUBにつながなくても、誰でもがネットワークに接続できる可能性がある。セキュリティ対策がされていなければ、会社の外の道路から、外部の人間が接続することも可能である。
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確かにそう思います! 
私はマンションに住んでいますが、無線LANに接続しようとすると、接続候補となるネットワークが5つくらい出てきます。他人の無線LAN回線でインターネットに接続も可能だと思いました。
ちまたでは、無銭LANと言われている。

干渉などにより、通信の信頼性が低い
 有線LANに比べて、無線LANは、通信信頼性が低い。例えば、電子レンジなどの干渉波によって、通信が切れる可能性がある。
 また、同時アクセス数がふえると、CSMA/CAという衝突回避の仕組み上、通信速度が一気に遅くなることもある。※CSMA/CAに関しては、別章で詳しく解説する予定。
 インターネット接続で利用する場合であれば、多少通信状態が悪くても我慢できすかもしれない。しかし、電話による音声通信では、切れたり無音になることがたまにあり、イライラする。もしあなたが無線LANを提供する側の人であれば、音声通話の場合は、通信の信頼性には注意して導入していただきたい。

運用面の負担
 有線LANは、HUBにケーブルをつなぐだけで接続ができるが、無線LANはそうではない。パソコン側での設定が必要である。また、認証サーバの運用が必要であったり、電波干渉にも対処し、つながらないとか通信速度が遅いなどの利用者からの問い合わせにも対処する必要があるだろう。
 利用者、システム管理者の両者に、運用面の負担がかかる。
 無線LANがやっかいなのは、無線は目に見えないところである。有線であれば、物理的に接続されているか否かだけである。しかし、無線は目に見えない電波で接続されていることが、運用を複雑にしているであろう。

注意点
以下は、マイナス面というか、注意点を書いた。少し弱いデメリットとも言える。
実効スループットはそれほど速くない。
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でも、最近はIEEE802.11nという規格があって、最高600Mbpsと聞きました。有線並みの高いスループットなのではないでしょうか?
IEEE802.11nは最高600Mbpsといわれているが、600Mbpsの製品はまだなく(H24.7月時点)、450Mの製品もまれである。特にパソコンやタブレットなどの端末側が(チップのコスト面で)対応していないことも多い。実際には、11nであっても、150Mbps程度が主流であろうし、その実効スループットは100Mbpsまでもいかないであろう。
 同様に、11gは54Mbpsであるが、条件によって異なるが、実効スループットは半分程度だと想定される。

精密機器への影響
工場や医療系の現場において、それらの精密機器への影響を与えることがあるので注意が必要である。特にISMバンドと呼ばれる11b/gの2.4GHz帯は注意すべきである。
 参考までに、ISMとはIndustry(産業)Science(科学)Medical(医療)の頭文字で、産業科学医療の分野にて許可なく自由に使える帯域である。
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確か、電子レンジもISMバンドですよね。ということは、工場や医療現場では、5GHz帯を利用すべきですね。
まあ、一概にいそうとも言えない。普通に2.4 GHzを使っているところも多い。きちんと調査した上で使えばよい。

1(4) 無線LANの将来

無線LANの通信量は、今後も劇的に増えそうである。
これらの技術進歩が欠かせないことであろう。
無線LANの高速化日進月歩であり、新しい規格が検討されている。

 IEEE802.11ac
・最近注目されている。Buffalo社からはすでに製品化がされている様子(H24.8月時点)。正式にはH25年になりそうであるが、1Gbpsの無線LANが実現しそうである。
・11a/nと同じく5GHz帯を使い、下位互換もある。
・ArubaからはAruba220シリーズとしてH25夏に発売予定。最大1.3Gbpsというスピードだ。以下にも解説あり。
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1306/10/news008.html
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1306/10/news008_2.html

 IEEE802.11ad
802.11acは5GHz帯であるが、802.11adは60GHz帯という超高周波な帯域を利用する予定である。その分、通信距離は数mのようであるが、1Gを大幅に超える通信速度が期待されている。

IEEE 802.11af
テレビ用の周波数帯(ホワイトスペース)を利用する。

ホワイトスペースの定義がよく分かっていないが、こんなイメージ。
テレビが押さえている周波数帯域は広い。しかし、地域毎にみると、実際に使う周波数帯は限れらている。それはもったいない。空いている周波数帯を活用しようという考え。  

2 無線LANの設計

無線LANに限らず、システムの設計は以下の流れであろう。

要件定義
 お客様からの要件(何がしたいのか)を明確にする。
 どこで、どの端末で、どんな目的で利用するか。

基本設計
 上記の要件をシステムとしてどう実現するか
 機器選定、機器の設置台数、認証と暗号方式、無線コントローラの有り無しなど。
 電波調査を行い、実際の配置も検討する。

 ※無線LANのセキュリティに関しては、内容が多いので別章とした

詳細設計
 上記の基本設計を具体化するために、具体的な機器にてどう実現するか
 基本設計と詳細設計の明確な区分はない。感覚的なところが多い。
 上記の基本設計を受け、機器が設定できるようなパラメータを決める。

設定・構築
 上記のパラメータを基に機器に設定を入れ、設置します。
 電源、LAN配線、機器の取り付け(特に高いところは注意)などの検討も必要です。

試験
 テストをします。正常につながるかだけでなく、障害試験やローミングのテストもします。

運用
 利用者へのマニュアル配布や、日々の状態管理、ログ管理なども。 
ここでは、無線LANの設計に関して、以下の分類で解説する。

2-1(1) 無線LANの要件定義

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私が担当しているお客様が、無線LANを導入したいと言われました。
まずは何をすればいいでしょうか。

 はじめに、無線LANを、どこで何のために利用するかを確認する。その上で、無線LANの細かな要件を整理しよう。
 つまり、要件定義である。 

 2-1(2) 利用シーン(どこで使うか)
 2-1(3) 何をするのか
 2-1(4) 要件の確認

2-1(2) 利用シーン(どこで使うか)

要件定義の1つ目の項目として、どこで使うかという利用シーンを明らかにする。
たとえば、以下である。
 会議室などの配線が難しい場所で利用する。
 工場などの広い敷地を移動しながら利用する
 事務所(オフィス)や学校などで、有線LANの代わりに使う。
 大学やイベントなどにおいて、オープンスペースにて自由に無線LANを使ってもらう。
  
特に、屋外の場合は注意であり、屋外用であれば、11aの周波数は基本的に使えないし、APの種類も変わる。
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なんでAPの種類が変わるのですか? 
大した理由ではなく、雨風や雪、高温などに耐えられる頑丈で防水、高温や氷点下の温度にも対応できる機器になる。
他にもいろいろとお話しすることはあるが、次の「2-1(3) 何をするのか」の観点によって、設計が変わってくる。では、次も見てみよう。

2-1(3) 何をするのか

無線LANを使って何をするのかを明確にする。

たとえば・・・
がっつりオフィス業務をする
ストリーミングを含む動画の利用もする
音声通信を利用する
クリティカルな業務に利用する

このあたりは重要である。なぜなら、帯域と信頼性にかかわってくるからだ。例えば、Web閲覧程度をし、例え通信切れてもいいのであれば、無線LANコントローラも入れずに、信頼性対策としての冗長化や、帯域もそれほど考慮しなくていいだろう。遅かったら「ごめんね」で済むだろうし。
しかし、音声やクリティカルな業務で使う場合は、信頼性を考慮すべきである。また、動画や業務で使うのであれば、帯域をきちんと確保しないと、利用者からクレームが来ることになる。

ちなみに、無線IP電話は、ローミングするといろいろなところで問題がでているようだ。「二度と使わない!」とおっしゃるお客様も多く。メーカを含めて慎重な検討が必要。
基本的には、音声は無線IPではなく、従来のレガシー、有線IP、PHSでやるほうが無難だ。